どなたでも下記の動画をクリックしていただくだけで、アーカイブを無料視聴していただけます。
(ウェビナー中に回答しきれなかったご質問についても数点、後日特別に講師へと回答してもらいましたので、このページの下部をご覧ください。)
少子高齢化、エネルギー転換、地域経済の活性化—
いま、私たちの地域社会には多くの課題が横たわっています。
こうした課題解決に行政と住民が一体となり、1990年代の終わりから取り組んできた、オーストリアの事例紹介のウェビナーを開催します。
舞台となるのは、その25年以上の歩みが欧州の中でも高く評価され、各国より視察団が訪れるオーストリア西部の山間にあるランゲンエッグ村。人口1200人のこの村では、気候中立の実現や高齢者が暮らしやすいまちづくり、地域内資源の活用など、日本でも応用できる実践が多数展開されています。
村の中心街の機能強化とコンパクトな集落発展のための空間計画、エコロジカルで省エネルギーな木造建築群、地域通貨、福祉の充実など。



このウェビナーでは、ランゲンエッグ村の建築・エネルギー担当官として、25年以上前から住民や専門機関と共に村のエネルギー政策を牽引してきた村役場職員のマリオ・ヌスバウマーさんに、近年の取り組みについてお話を伺います。
今回のウェビナー(及びお申し込み)は、Zoomで行います。当日は通訳者を介して直接ヌスバウマーさんに質問できる時間を設け、持続可能な社会づくりに役立つ最新情報をお届けします。無料で参加いただけますので、ご関心のおありの方に情報をシェアしていただけるとうれしいです。

【講師紹介】
マリオ・ヌスバウマー氏
電気技師。25年来、オーストリア西部フォアアールベルク州の山村ランゲンエッグ村で建設・エネルギー担当官を務め、同村を気候保全・エネルギー自立の模範の村へと導く。エネルギー研究所フォアアールベルクでエネルギー・アドバイザー養成講座を修了し、副業でエネルギー・アドバイザーとしても働いている。URL: https://www.langenegg.at
追加質問の回答について
《SJS滝川による補足①:オーストリアでは新築建物に化石燃料の暖房設備は設置禁止です。一般的な比較対象は地域暖房、空気ヒートポンプ、木質バイオマスボイラーなどです。新築は断熱性が高く、ヒートポンプに適した低温暖房が主流です。》
《SJS滝川による補足②:木質バイオマスの地域熱供給では、熱(暖房・給湯)の供給のみを行います。発電は行っていません。森林では、近自然な混交林における択伐林施業が行われています。》
- ライテン住宅地は賃貸ですか?また、住民層について教えてください。
-
ライテン住宅地は不動産開発会社により建設され、すべて分譲販売されました。
購入希望は地元のランゲンエック村の住民が優先され、残りが近隣住民に販売されました。
住民の多くは、(まだ)家族のいない若い地元出身者です。
- ヒートポンプの省エネ効果や他の暖房方式との比較について教えてください。
①エアコンやほかの暖房方法に比べ、てどれくらい省エネになるのでしょうか? -
エアコンと比較できる)空気ヒートポンプのAPF(年間平均効率)は約3となります。
この「3」とは、1kWhの電力の投入に対して3kWhの熱が作られることを意味します。
地中熱ヒートポンプは4、さらに夏に地中へ熱を蓄える仕組みを加えると5に達します。
太陽光発電を併用すれば、電気代も抑えられます。
また、地中熱方式は燃料保管が不要で、機械室も小規模で済み、清掃・メンテナンスの手間もありません。
- ②温度調整ができないと思うのですが、結局エアコンとの併用になっているのでしょうか?
-
オーストリアの一般住宅では全館温水暖房(床暖房やラジエーター)が主流で、温度調整も可能です。
冷房は一般的ではなく、エアコンの併用はありません。
- ③ 地中熱ヒートポンプの初期費用と省エネ効果を、従来方式と概算で比較してください。
-
地中熱ヒートポンプは初期費用は高いですが、運転効率が非常に高く、冷房機能も電力をほとんど使わず実現できます。
冷媒を使わず、既存の床暖房設備で冷却が可能です。
- ランゲンエックに移住を希望する人はいますか?また、オーストリアの自治体間で、日本でもある人口の取り合いのような現象はありますか?
-
はい、オーストリアでもそうした傾向はあります。特に農村部は都市部より土地が安価なため、移住希望者が一定数います。
ただし、販売されている土地は限られています。
ランゲンエック村は、子育て支援が充実し、住民によるNPO活動も活発で、機能的な村の暮らしが魅力とされています。 - ランゲンエック村では冬に雪は降りますか?除雪は必要ですか?冬も自転車で移動できますか?
-
はい、雪は降りますが、20年前ほどではありません。夜間に50cm程度積もることもあります。
道路や広場は除雪され、自動車は冬タイヤやチェーンが必須です。太陽光発電は雪で約4~6週間停止します。
私は基本的に自転車通勤ですが、年に20〜30日は徒歩通勤になります。
【開催日時】2025年7月23日(水曜日)16時00分~17時30分(オーストリア、スイスより生配信)
【参加費】無料
【お申込専用サイト】https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_dsqPQ8PRTE-AnxR6CUDh2Q
主催・お問合せ先:気候ネットワーク、SJS スイス-日本サステナビリティ交流会
後援:Dotネクストプロジェクト、(一社)エネルギーエージェンシーいわて、(株)エネルギーまちづくり社
※このウェビナーは、2025年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催します。